ご挨拶
一般社団法人 吸入療法アカデミーは、2013年11月に設立されました。これまで、1100名を超える認定吸入薬剤師が誕生し、1400名以上の医療関係者に講習会を行ってきました。この実績は、吸入療法にかける会員の情熱と使命感に支えられた活動と、より良い吸入療法の普及のためにお力添え頂きました薬剤師会をはじめ、多くの方のご理解とご支援のおかげと、心より御礼申し上げます。
2025年4月より、新しい吸入指導連携ツール“NEWすい吸い連携ネット”の導入に合わせ、医師対象の会員区分を新設しました。呼吸器内科やアレルギー科を専門とされていない先生方にも、薬剤師との医薬連携により、効果的かつ効率的な吸入指導連携ができることを目指しております。日常診療で処方された吸入薬が、患者さんのアドヒアランスの低下や吸入デバイスの誤操作(ピットホール®)により、継続できなくなっているケースを多く経験します。当法人では、吸入療法に対する根本的な考え方を一緒に学び、日常診療において、より良い吸入療法の実現と継続を目指しています。

なぜ吸入指導を行うべきか?
吸入療法に携わる医療者が忘れてならない点は、吸入療法のアドヒアランスは、内服治療と比較し良好に保つことが難しく、吸入指導などの継続的な治療介入がなければ、低下しやすいことです。吸入療法においてアドヒアランス維持が難しい理由の1つは、維持すべきアドヒアランスが内服薬と同様の薬剤に対するアドヒアランスと、吸入デバイスに対するものの2つがあり、吸入療法はこの2本の足に支えられて成り立つ治療法だからです。吸入指導の主な目的は、吸入薬と吸入デバイス双方に対するアドヒアランスをバランス良く向上させ、維持することです。
また、ピットホール®は、アドヒアランス維持に悪影響しますが、良好なアドヒアランスが維持されたとしても、的確でスムーズな吸入デバイス操作がなされなければ、期待した治療効果は得られません。アドヒアランス維持とピットホール®の発生は別次元の問題と捉え、対処しなければなりません。吸入療法アカデミーでは、デバイスごとの典型的なピットホール®を学び、効率的な吸入指導の実現を目指します。

なぜ、医薬連携を行うべきか?
ピットホール®の発生原因は、吸入デバイスの問題のみならず、むしろ患者側の様々な因子から生じている場合が多く、患者の加齢現象、ハンディキャップ、性格や個性、生活スタイル、社会環境など様々な要素が影響し合います。そのため、吸入指導を行う際に重要な点は、加齢現象・ハンディキャップなど患者が薬剤吸入を行う上で障壁となっているものが無いか、常に変化している患者の状態を把握することが重要です。吸入指導の際に把握した患者情報は、医療者間で双方向性にタイムリーに共有され、蓄積保存され、次の吸入指導に役立つべきです。吸入療法アカデミーでは、クラウドシステムを介した吸入指導連携ツール“NEWすい吸い連携ネット”を用い、効果的な医療連携の実現を目指しています。
吸入療法アカデミーは、吸入療法への情熱と使命感を持った会員の集まりでございます。先生方が日々診療されておられる一人一人の患者さんのために、そして、より良い吸入療法の発展のため、私達の活動にご理解とご賛同をいただき、手を携えてくださる方の入会をお待ちしております。

2025年4月
一般社団法人 吸入療法アカデミー 代表理事 大林浩幸
日本アレルギー学会での講演会実績(大林浩幸代表理事)
- 第1回 総合アレルギー講習会 実習「吸入指導」講師
日時:2014年12月21日 会場:パシフィコ横浜 - 第2回 総合アレルギー講習会 実習「吸入指導1:成人」講師
日時:2015年12月12日 会場:パシフィコ横浜 - 第3回 総合アレルギー講習会 実習「吸入指導1:成人」講師
日時:2016年12月18日 会場:パシフィコ横浜 - 第4回 総合アレルギー講習会 実習「吸入指導1:成人」講師
日時:2017年12月17日 会場:パシフィコ横浜 - 第5回 総合アレルギー講習会 実習「吸入指導1:成人」講師
日時:2018年12月16日 会場:パシフィコ横浜 - 第6回 総合アレルギー講習会 教育セミナー5講師
日時:2019年12月14日 会場:パシフィコ横浜